名古屋には、知名度100%を達成しているのでは?と思わしきラーメン屋がある。それが「スガキヤ」だ。
静岡や愛知県など、まさしく東海エリアに絞って展開している人気チェーン店である。
個人的にチェーン店はあまり好まないのだが、「名古屋人なら誰でも知るソウルフード」と聞いては行くしかあるまい。
僕が「名古屋に行く」と言うと、名古屋出身の人達は口を揃えて「スガキヤ」を勧めてくる。
そして「スガキヤって何?」と聞き返せば、「フードコートに入ってるようなチープなラーメン」と返ってくるのだ。
旅行者に「フードコートに入っているようなチープなラーメン」を勧めるあたり、やはり名古屋人は面白い。
同時に、「名古屋人はスガキヤに対して‟チープなラーメン”以外の情報を持ち合わせていないのでは?」という疑念も生まれる。
そこで、今回はスガキヤの「チープなラーメン」を実食するついでに、スガキヤについていろいろ探ってきた。
「これから初めてスガキヤを訪れる人」はもちろん、「散々スガキヤを堪能してきた名古屋人」にも、ぜひ読んでもらいたい記事に仕上がったと自負している。
スガキヤの外観と雰囲気/甘味が充実したフードコート
スガキヤは東海地区だけでも300店舗を越える巨大チェーン店だ。「名古屋を歩けばスガキヤにあたる」とまで言われているとか、いないとか。
名古屋に出向く際には、あちらこちらに店舗があるので、どこの店舗を利用しても同じ物が出てくる。
ただし、少し高級志向な「寿がきや」というブランドでも展開しており、間違えないようにしていただきたい。今回紹介しているのは「寿がきや」ではなく「スガキヤ」だ。
マスコットキャラクター「スーちゃん」は、スガキヤの歴史を物語る
スガキヤにはスーちゃんという名物キャラクターがいる。右手にラーメン、左手にソフトクリームを持ち、なぜか三つ編みを逆立てている女の子だ。
スガキヤの主力商品が「ラーメンとソフトクリーム」だということを表しているのだが、ラーメン屋の主力商品がソフトクリームとは、いったいどういう事なのだろうか。
実はスガキヤは昭和21年、甘味処として開業した。開業から2年後、なぜかラーメンをメニューに加え、今に至る。
現在でも甘味メニューが豊富なのは、このような経緯があるからだ。
スーちゃんには家族がいた!
スーちゃんは4人と2匹の家族である。「らーパパ」と「めんママ」という両親を持ち、弟の「プーちゃん」もいる。そしてペットは2匹、犬の「うーちゃん」と猫の「みゃーちゃん」だ。
続けて読むと「らーめんスープうみゃー」となる。
スガキヤ店内はフードコートさながら
スガキヤでは先にお会計を済ますと呼び出しベル(正式名称はソフトコール)を渡され、席で待つ。出来上がると呼び出しベルが鳴るので、セルフで取りに行き、食後もセルフで返却口へ返す。
つまり、よくあるフードコートのそれと全く同じシステムである。
ちなみに、初めて呼び出しベルを導入したのは、スガキヤだ。今、全国のフードコートであたり前のように使われているものが、スガキヤ発祥だったとは驚きを隠せない。
スガキヤで実際にラーメンを食べた感想/とてもチープでジャンキー
「チープなラーメン」と比喩されるスガキヤのラーメンは360円と破格である。
この価格設定は、名古屋特有の喫茶店文化が関係していると言うのだ。
「喫茶店にコーヒーを飲みに行く感覚でラーメンを食べてほしい」という、他県の者からすると少し意味の分からない思いから、ラーメンの価格設定をしているらしい。
意識すべきはコーヒーの相場。コーヒーが1杯30円の時代には、ラーメンも1杯30円に設定していたそう。
「チープなラーメン」という表現は、公式見解?
様々な人から「チープなラーメン」と言われたからと言って、それをこの記事で書いて助長するような行為は、スガキヤに対して失礼なのでは?という迷いもあった。
しかし、公式サイトのメニュー写真を見れば、それは杞憂に過ぎないということが分かる。
日進月歩の日本の技術力において、本物と見間違えるほどの食品サンプルを作ることなど容易い。
それにも関わらず、明らかに食品サンプルと分かる、美味しさが全く伝わらない写真を公式メニューに掲載するあたり、スガキヤを展開するスガキコシステムズ株式会社は確信犯である。
出てきたラーメンも、やはりチープ
さて、実際のラーメンは、食品サンプル感は無い。(あたり前)
チープな丼ぶりに白濁したスープ。ペラペラの小さなチャーシュー、メンマとネギ。
色から想像するに、とんこつスープと思わしきそのスープを飲んでみる。
ん?
もうひと口。
んん?
不味くはない。
ガツンとくるとんこつの重厚感は無く、薄っぺらい味だ。しかし不味くは無い。
もしかしたらとんこつではないのかも知れない。結局最後まで何味のスープなのか分からずに完食した。
麺は細麺で、まるでインスタントラーメンのような食感だ。だが、不味くは無い。
宿に帰り調べてみると、「とんこつスープと和風だしのブレンド」だということが分かり、その日の夜に再訪してみた。
この日、2杯目となるスガキヤラーメンをすすってみたのだが、結局何度食べても何味なのか分からない。
「醤油」とか「味噌」、「塩」や「とんこつ」というジャンルに無理やり当てはめようとするのが愚かだと気付き、「スガキヤ」というジャンルのラーメンだと思うことにした。
スープから麺、具にいたるまで、全てがチープなスガキヤのラーメン。まるでインスタントラーメンを食べているような安心感と、心地よい旨さを感じる。
コンビニで買うアメリカンドッグだって、ジャンキーでチープだけど不味いわけじゃない。むしろ旨いではないか。
スガキヤのラーメンは、そんな位置付けなのかもしれない。
インスタントラーメンっぽいと思っていたら、インスタントラーメンも販売していたスガキヤ
これだけ散々「チープ」だ「インスタントっぽい」と言っていたら、スガキヤはインスタントラーメンも販売していることを知った。
まさか店舗でもこれを使っているのでは?という疑念も残る(笑)
ネットでも買えるので、取り寄せてみるのもおすすめだ。
スガキヤのラーメンと言えば、 スプーン。いや、フォークかも
スガキヤには、ラーメンに必須のレンゲが無い。代わりに、このスプーンだかフォークだか孫の手だか分からない奇妙な食器が用意されている。
公式名称は「ラーメンフォーク」と呼ぶらしい。
ラーメン屋といえば、「自家製麺」などと謳う「自家製」にこだわる店も多い。だが、「自家製の食器」とはスガキヤは変わったラーメン屋だ。
環境に配慮し、割り箸を使わずとも麺を食べられるように開発されたものだと言うが…。
店内を見渡してみると、ほとんどの客は箸で食べていた。
なんと!このラーメンフォークもネットで購入できると言うのだ。
購入した人のレビューを見てみると、
「手の不自由な母親が食事が楽になったと大喜びしています」とか「骨折して手に包帯を巻いていたので助かりました」とか…。
まるで介護用品かのような扱いをされているところも滑稽だ。
スガキヤのメニューと価格/安さ重視
ラーメン360円/玉子入ラーメン410円/肉入ラーメン460円
冷やしラーメン520円/野菜ラーメン520円
特製ラーメン510円/スガキヤカレー260円
五目ご飯240円/ソフトクリーム160円/クリームぜんざい250円
コーヒーゼリー210円/チョコクリーム250円
ベリークリーム250円/アップルジュース110円
※当記事内の価格は全て税込
スガキヤの基本情報、営業時間とアクセス/大須店
【住所】
【電話番号】052-261-3204
【営業時間】10:30〜20:00(LO19:30)
【定休日】無し
【キャッシュレス】利用可(要確認)
【アクセス】市営地下鉄環状線・鶴舞線、上前津駅8番出口徒歩5分
▶公式サイトはこちら
立地:★★★★★/駅近
コスパ:★★★★★/とても安く満足できる味
清潔度:★★★★★/清潔に保たれている
接客:★★★★☆/とても良い
入りやすさ:★★★★★/気軽に入れる
スガキヤまとめ/360円の激安ラーメンはチープだが旨い
この記事で何度「チープ」という単語を使っただろうか?時には「チープ」という言葉が褒め言葉になる時がある。
スガキヤを紹介する時が、まさにそうだ。
誰もが好むであろう無難な味のラーメンは、言い換えれば特徴が無いとも言える。
通いつめたくなるほどのラーメンでは無い。たまに食べたくなるラーメン、それがスガキヤだ。
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