喫茶店文化が根付く名古屋において、超が付くほど有名な「二大喫茶店」といえばコメダ珈琲とコンパルである。
全国的に有名なのはコメダ珈琲だが、コンパルは名古屋に限定して店舗展開している関係から、名古屋に住む人々限定で知名度があるのだ。
コンパルは1947年(昭和22年)創業の老舗ということもあり、名古屋の喫茶店をリードする存在と言っても過言ではない。
しかし、老舗だから由緒正しき喫茶店などと思ってはいけない。コンパルはとっても変わっている喫茶店なのだ。
今日は、コンパルの変なポイントを3つ、紹介しようと思う。
②ミルクはコーヒーに入れるというより、身体に塗りたくるもの
③名古屋駅の地下街で焼きそばを買うと、なぜか近所のコンパルから店員が走ってきて、焼きそばを作ってくれる
この「変ポイント」の詳しい解説は記事の後半でするとして、まずはコンパルのおすすめポイントをいくつか紹介しよう。
コンパルのモーニングは飲み物プラス130円
コーヒーなどの飲み物代のみでトーストや卵などがサービスされる、名古屋特有の喫茶店文化「モーニング」。
さすがに利益が出ないのか、飲み物代と別にプラス料金を取る喫茶店も多い。コンパルもその中のひとつだ。
名古屋のモーニングは、もともと客寄せのために始まった。モーニングが始まる前より創業していたコンパルにとって、モーニングが必ずしも必要というわけではなかったのかもしれない。
コンパルがモーニングにプラス料金を取るのは、老舗の余裕の表れなのだろうか。
モーニング最安はコーヒー+130円=530円
コンパルで最安の飲み物はコーヒー(hot/ice)の400円だ。
つまり、モーニングの最安は530円ということになる。プラス料金とは言え、この価格で淹れたてのコーヒーとサンドイッチを食べられるのはありがたい。
忙しいモーニングの時間帯は、コーヒーを作り置きしている喫茶店も多い。酸味が出て風味が劣化する原因でもある。
しかしコンパルは、見ている限り1杯1杯ネルドリップしていた。
近年ポピュラーとなった紙フィルターをつかった「ペーパードリップ」に対し、柔らかく軽い布(ネル)をフィルターとして使う抽出方法。
コーヒーの抽出方法として長い歴史を持ち、「最も美味しい抽出方法」と称賛するコーヒー愛好家が多い。
そしてコンパルでは、焙煎途中で粒が揃わない豆を除外する。残った6~7割の豆のみを使うというこだわりがある。
そのこだわりのコーヒーは深煎りでとても濃い。苦みが強い濃さではなく、コクが強い濃さだ。それゆえ、砂糖とフレッシュクリーム(コンパルではミルクをフレッシュクリームと呼ぶ)を加えても、ちゃんとコーヒーのコクが感じられる。
僕がこれまでに飲んできたどのコーヒーよりも、コンパルのコーヒーのほうが美味しい。コーヒー愛好家の皆さんに、ぜひ一度は楽しんでほしい逸品である。
+130円のモーニングはハムエッグトースト
コンパルのモーニングはハムエッグトーストだ。シャキシャキのキャベツとハムエッグの食感が楽しい。
味付けに使われているウスターソースが、レトロな店内とマッチして懐かしさを演出している。
恐らく具を挟んでから少し焼き直しているのだろうか、パンと具材の一体感が凄い。カリっと焼かれたパンの音が耳に心地よいのは、言うまでもない。
コンパルの名物はサンドイッチ
有名なシェフを招いて開発したというサンドイッチ各種が、コンパルの名物となっている。
喫茶店でありながら、「コンパル=コーヒー」と連想する人よりも「コンパル=サンドイッチ」と連想する人が多い。
今や、サンドイッチのメニューも数十種類にも増え、店内を見渡せばどの席にも何かしらのサンドイッチが置かれていた。
最も人気があるのはエビフライサンドらしく、930円と値は張るが、大ぶりの海老が3尾もサンドされている贅沢なサンドイッチだ。
サクサクのエビフライにタマゴ焼きとコールスローがサンドされていて、こぼさずに食べるのが困難なほど具だくさん。オーロラソースとの相性もばっちりだ。
サンドイッチ各種はお持ち帰りもできるので、缶ビール片手にホテルで楽しむのもいいだろう。
「コンパル」のここが変だよ!
さて、いよいよ本題。
何の予備知識も無しにコンパルに訪れると、一風変わった光景に思わず驚いてしまう。とてもユニークなコンパルでの出来事を3つほど紹介しよう。
やけど必至?アツアツのアイスコーヒー
この写真、アイスコーヒーを頼んだ時に運ばれてきた「アイスコーヒー」だ。
恐らく温度計を差したら80度ほどはあるのではなかろうか。とても熱い。
「アイスコーヒーでございます」と言いながらホットコーヒーを置いていくのだから、変わった喫茶店である。もし店内のテーブルがちゃぶ台だったら、ひっくり返していたに違いない。
実はこのアイスコーヒー、コンパルの名物となっている。
通常のホットコーヒーより少量を濃く抽出したコーヒーと、氷の入ったグラスが運ばれてくる。
自分でグラスにコーヒーを注ぎ、アイスコーヒーを作るのだ。瞬時に冷却することで風味を損なわずに、アイスコーヒーを楽しむことができる。
ミルクの変わった使い道とは・・・?
コーヒーに付いてくるミルクを、コンパルでは「フレッシュクリーム」と呼ぶ。
コンパルでは、このフレッシュクリームでさえも特注品を使うこだわりを見せている。
小さなカップに入れられて出されるフレッシュクリームは、生乳200mlと同等の乳脂肪分を含んでいる。
つまり、植物由来の添加物で作られたフレッシュではなく、動物由来のれっきとした無添加ミルク・・・もとい、クリームなのだ。
その濃厚さは、コーヒーに入れてみればすぐに分かる。もともとコクの強いコンパルのコーヒーに、さらにコクが足される。
そして、店内を見渡すと、常連とおぼしき素敵なマダムたちは、残ったフレッシュクリームを手に垂らして塗りたくっていた。
それはまるで、風呂上りにハンドクリームを塗る時のように、ごく当たり前に、ごく自然に、コーヒーの、ミルクを、手に、・・・。
コンパルへは複数回行ったが、いずれも同じような光景を目撃したので、きっとコンパルのフレッシュクリームの正しい使い方なのだろう。
焼きそば店で焼きそばを注文すると、近所のコンパルの店員が作ってくれる
名古屋駅の地下街「メイチカ」に、テイクアウトができる焼きそば専門店「福蔵」がある。
焼きそばをテイクアウトでホテルに持ち帰ろうと立ち寄った際の出来事だ。
店内を覗いても店員が見当たらず、「すいませーん」と大き目の声で問いかけたところ、通路を挟んで斜め前にある喫茶店コンパルから、コンパルの制服を着たコンパルの店員さんが走ってきて、「いらっしゃいませ」と。
恐る恐る焼きそばを注文すると、そのコンパルの店員さんが鉄板で焼きそばを作ってくれた。
そして出来上がると気もそぞろに、コンパルの店内へ帰っていったのだ。
とてもシュールな体験をして、僕のコンパル愛が深まったことを付け加えておく。
「コンパル」営業時間とアクセス
<大須本店>
愛知県名古屋市中区大須3丁目20−19
地下鉄鶴舞線「上前津駅」徒歩3分
8時~21時(L.O. 20:45)
定休なし
その他店舗は公式サイト参照
「コンパル」のココが変だよ!まとめ
コンパルに行きたくなっただろうか?
僕はこの記事を書きながら、何度も何度も行きたくなった。コーヒーがもの凄く美味しいからだ。
もし名古屋に住んでいたならば、毎日通っていたに違いない。
もし、出張や旅行で名古屋を訪れる機会があれば、ぜひともコンパルのアイスコーヒーを体験してほしい。
こぼさずにアイスコーヒーが完成したら、あなたは立派なコンパルマスターだ!
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