たこ焼きにお好み焼きと、粉もの文化で溢れる大阪。あまり話題には上らないが、「うどん」だって立派な粉ものである。
大阪のグルメの基盤は、贅沢に香る「出汁」だ。たこ焼きにだってお好み焼きにだって、相当なこだわった出汁が使われる。
出汁にこだわる大阪で、「出汁が命」といっても過言ではないうどんが、不味いわけがない。
JR大阪駅からすぐの大阪マルビルでは、多くの飲食店がしのぎを削っている。その中に、讃岐うどんのように弾力のある美味しいうどんを提供するお店「花きり」がある。
自らを「うどん割烹」と呼称して、刺身のように鮮度の良いうどんを提供。うどんはどれも600円~800円と決して安い部類ではないが、納得できる美味しさでコストパフォーマンスは抜群だ。
大阪でコテコテのソース味に飽きたら、さっぱり食べられるうどんなど、どうだろうか。
「花きり」のうどんは1.5玉まで同価格
花きりは、JR大阪駅前のランドマーク、マルビルの中にある。地下街と直結しているが、大阪に慣れていない人は確実に迷子になるので、地上から行ったほうがいい。
打ち立て・茹でたての鮮度の高いうどんが自慢の「花きり」では、温冷さまざまなうどんから選べる。その全てで1.5玉まで同価格というから嬉しい。
定食などを頼むと付いてくる「かやくご飯」が隠れた人気メニューらしいのだが、個人的には「天ぷら」を推したい。
花きりの天ぷらは、ひとつひとつが大振りで、形も揚げ方も綺麗。「割烹」と称するに値する、本格的なものである。
花きりのランチは、すだちうどんと天ぷらのセットがマスト
花きりで断トツの人気を誇るという「すだちうどん」は、生醤油をかけ、すだちを絞って食べるシンプルなうどんである。
シンプルであるがゆえ、うどんそのものの美味しさがダイレクトに伝わる。
透明感のあるうどんを目の前にして、今は無きうどんの名店「はかくれ」の名物店主に言われた言葉を思い出してみた。
讃岐うどんに比べ細く、すらっと凹凸のないビジュアルも手伝って、スルスルとうどんが口の中に運ばれていくではないか。
口に運ばれてきたうどん達は、讃岐うどんほどのコシはないものの、大阪のうどんとしては強めのコシである。聞くと、「讃岐のように足で踏んでこねるが、コシが強くなり過ぎないように調節している」らしい。
大阪では讃岐のようなコシがものすごく強いうどんは流行らないのだとか。
さて、お次は天ぷらだ。みごとに大きい海老天が鎮座していた。
「ダウンジャケットを脱いだら、意外と細いのね!」なんて子供だましはしない。しっかりと中身の海老も大きくぷりっぷりの食感を楽しめる。
天つゆは少し甘めで濃いめ。揚げたての「ちゃんとした」美味しい天ぷらは、天つゆで食べるのが少々申し訳ない。天ぷらをリスペクトするならば、塩で食べるのがいい。
「花きり」・営業時間とアクセス
大阪府大阪市北区梅田1丁目9−20大阪マルビルB2F
JR大阪駅、大阪メトロ各線梅田駅から徒歩3分
11:00~22:30
定休・第3月曜日(1月・7月・8月・ 9月・12月除く)
花きり公式サイト
「花きり」で美味しいうどんランチ・まとめ
大阪では忙しい商人が素早く食べられるよう、コシのあるうどんが嫌われる。柔らかいうどんが好まれるのだ。
花きりのうどんは大阪のうどんにしてはコシが強く、かといって讃岐のうどんから見ればコシが弱い。
つまり「讃岐風大阪うどん」という位置付けだ。ハイブリットである。
讃岐のようなコシの強いうどんが好みの人も、大阪うどんのような柔らかいうどんが好みの人も、どちらの層をも取り込める。まさに商売上手な大阪らしいうどんである。
どうしてもたこ焼きやお好み焼きがメインとなりがちな大阪で、たまには喉越しのよいうどんを楽しむのもおすすめだ。
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