広島の繁華街・八丁堀で、瀬戸内産の海産物を扱う居酒屋を見つけた。どちらかと言えば、小料理屋の冠が相応しい「四季祭(しきさい)」がその店である。
旅先で入る個人店は、その全貌が不明なだけに、不安なものだ。
限りある旅先での食事。できれば失敗は避けたい。メニュー構成や価格帯が一目瞭然なチェーン店に比べ、個人店はどうしてもギャンブルと化してしまう。
しかし、「せっかくの広島で、地元の瀬戸内産の海産物を堪能したい」という希望は、チェーン店だと叶いづらい。意を決して個人店の扉を叩くしかないのだ。
僕は全国各地で、良さそうな個人店を見つけては、果敢にも扉を叩く。もちろんハズレだった個人店も数多くあるが、このブログで紹介している個人店は全てアタリの部類。
それも、ここ「四季祭」は、個人的にかなり上位に入る個人店である。
調理を大将ひとりで行っている関係で、混雑時などは料理の提供まで少々待たされるのが欠点ではあるが、それも手を抜かないからこそ。
最高に旨い瀬戸内産の海産物を、心ゆくまで堪能してほしい。今回は、四季祭でしか味わえない、絶品料理を3品紹介する。
四季祭の外観と雰囲気
四季祭はメイン通りから外れた裏通りにあるため、観光客よりも地元民に愛されているお店である。
店名に「祭」が入るからか、和太鼓のような看板が印象的である。
黒を基調としたシックな店内は、テーブル3席とカウンター席が7席ほどのこじんまりした造り。
京都の旅館で修行を積んだという、スキンヘッドで無口な大将が、黙々と料理を仕上げていく。
カウンター越しに質問を投げかけると丁寧に答えてくれるのだが、余計な会話はしない。とてもスマートで凛とした雰囲気の対応だ。
ホールを担当する大学生風の茶髪のお兄さんも、とても感じが良い。
四季祭で実際に瀬戸内産料理を食べた感想
四季祭は、料理の質に対してのコスパが驚異的だ。
京都の旅館で修行経験のある大将の腕は確かなもので、盛り付けにもこだわった品のある味を堪能できる。
かしこまった高級料亭の味を、街の居酒屋価格で楽しめるのは凄い。
海産物から野菜に至るまで瀬戸内界隈のものを使い、メニューにも産地が記載されている点もさすがだ。
「四季祭」の店名の通り、その季節に合わせたメニュー構成となるようで、今回は年間を通して提供されるであろうメニューを中心に注文した。
その中でも、特におすすめしたい3品を紹介する。
広島産 牡蠣のオリーブオイル漬け
広島に出向いたなら、牡蠣はマストアイテムである。
火を通すものは多少時間がかかるとの事で、すぐに提供されそうなオリーブオイル漬けを注文してみた。
大きな身がプリっぷりで、旨味が凝縮している。まるでチーズのような甘い味わいに、ほんのり効いたガーリックがとどめを刺す。
牡蠣特有の生臭さは皆無なので、これまで牡蠣を苦手としてきた人にこそ食べていただきたい逸品だ。
当座の酒のあてとして軽い気持ちで注文したオリーブオイル漬けが、まさかの嬉しい大誤算。これから出てくるであろう他の料理の期待値がグッと上がった瞬間だ。
広島産 コウイカ刺身
立派な竹の器に盛られたコウイカは、まるでかぐや姫かのように光輝いている。(実物のかぐや姫なんか見たことないけどw)
厚みのある身は、適度な弾力があり、かつ柔らかい。サクッと歯が入る。
生姜醤油で食べるとさっぱり美味だ。醤油を使わずにそのまま、ねっとりした甘さをダイレクトに感じるものいい。
一般的に淡白なイメージのイカだが、大将の捌くイカは濃い。まるでイカの旨みだけを取り出して固めたかのようだ。イカだから当たり前なのだが、イカの味がするイカである。
広島産 見浦牛すじ肉煮込み
きっと、何時間も煮込んだのであろう、とろとろな仕上がりのすじ肉が絶品。すじ肉にありがちな、飲み込むタイミングが分からないといった心配は杞憂だ。
ほんのり香るダシ汁も、煮詰まってなどない。塩ベースのお吸い物として、最後の一滴まで優しくまろやかな味を堪能できる。
大根もしっかり味が染みているのに、煮崩れしていない。こんにゃくも臭みなど皆無で、むしろダシが染みている。
すじ煮込みは個人的に大好きな料理で、メニューにラインナップされていると必ず注文する。
全国津々浦々ですじ煮込みを食べてきたが、ここ四季祭のすじ煮込みは、間違いなくナンバーワンではなかろうか。
四季祭のその他メニュー(秋)と価格
コウイカ刺身…750円/ヨナキ貝刺身…1,350円
コウイカ天ぷら、直火焼き、わた醤油焼…各550円
アジ酢〆造り…850円/タコ刺身、天ぷら…各750円
タコぬた和え…450円/タチウオ炙り造り…850円
サンマ炙り造り…750円/サンマわた醤油焼き…650円
アナゴ湯霜造り…950円/アナゴ天ぷら…950円
アナゴ皮巻き炙り…250円/スズキ頭とカマ煮つけ…550円
タラ白子ぽん酢添え…750円/小イワシオリーブオイル漬け…450円
タラ白子天ぷら、揚げだし、松前焼き…各850円
カキとキノコの揚げだし…850円/すじ肉煮込み…650円
カキ赤みそ小鍋仕立て…1,250円
黒毛和牛リブロース陶板焼き(見浦牛使用)…2,750円
穀美豚の野菜金山寺みそ焼き…750円
放し飼い地鶏もも肉直火焼き…650円
ハーブ鶏くわ焼き…650円/猪肉の有馬山椒煮…550円
だし巻き玉子(平飼い有精卵使用)…650円
野菜天ぷら(長なす、れんこん、かぼちゃ入り)…550円
かぶ含み煮ゆず味噌かけ…450円/長なす肉みそ田楽…450円
かぼちゃ饅頭ひき肉味噌かけ…550円/根菜たっぷり筑前煮…450円
れんこんとエビすり身はさみ揚げだし…550円
れんこん餅揚げだし…450円/湯葉包み揚げ…650円
アボカドと青戸ちりめんのサラダ…550円
カツオオイル漬けとチーズのサラダ…550円
たっぷりとまとドレッシングのサラダ…550円
ひきわり納豆と茶そばのサラダ…550円
カキのガーリックオイル漬け…550円
※当記事内の価格は全て税抜
四季祭の基本情報、営業時間とアクセス
【住所】広島県広島市中区幟町12−10幟ビル2F
【電話番号】0822255753
【営業時間】17:00~23:00
【定休日】祝日
【キャッシュレス】クレジットカード
【アクセス】広電「八丁堀」または「銀山町」徒歩3分
立地:★★★★☆/最寄駅から近い
コスパ:★★★★★/高級志向を安価で
清潔度:★★★★★/とても綺麗でお洒落
接客:★★★★☆/良くも悪くも職人肌
入りやすさ:★★★☆☆/入るまでメニューが分からない
八丁堀の個人店居酒屋「四季祭」で瀬戸内産の海鮮を堪能まとめ
魚介も野菜も肉も、広島を中心とした瀬戸内産のものを使い、まるで高級料亭かのような質の高い料理を提供する四季祭。
JR広島駅からは少し離れているが、繁華街である八丁堀の駅から徒歩数分と立地も最高だ。
店名の通り、季節によってメニューの内容が変わる。今回は秋に訪問したので、秋のメニューを中心に紹介したが、時間が許すならば全ての季節に訪れてみたい。
チェーン店の居酒屋に比べると少し値が張るが、提供される料理に対する価格のコスパは最高。八丁堀で一杯ひっかけたくなった時に押さえておくべき店である。
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