福岡は博多と言えば、とんこつラーメンである。
豚骨を強火で沸騰させることから乳白色の濁ったスープと、堅さが選べる極細麺が特徴の豚骨ラーメン。博多を代表するグルメだ。
福岡の駅には立ち食い蕎麦ならぬ「立ち食いとんこつラーメン」まであると言うから驚きを隠せない。
そんな博多のとんこつラーメンは、今では「一風堂」や「一蘭」など全国チェーン店のおかげで、どこででも食べられるようになった。
しかし、せっかくの旅先で全国チェーンに入るのも、なかなかの侘しさがあるではないか。
もし福岡に出向いた際にはチェーン店ではなく、ぜひともローカルなお店でとんこつラーメンを食べてみてほしい。
博多には、チェーン店では出せない濃厚さとクリーミーさを兼ね備えたとんこつラーメン店がゴロゴロある。
その中でも、知る人ぞ知る、究極のとんこつラーメンを紹介したい。
そのお店は看板も暖簾(のれん)もない、口コミだけで広まった「博多元気一杯」だ。
「博多元気一杯」の外観と雰囲気/100%気付かない佇まい
さて、これは何の建物かお分かりだろうか?
事務所?お店の裏口?いや、違う。お店の入り口である。
まさしくこれが「博多元気一杯」のお店の外観なのだ。
看板も暖簾(のれん)も無い、「元気一杯」の文字すらない、飲食店であることすら分からない佇まいである。
店先の青いバケツが、営業中のしるし。
博多元気一杯の閉店時間はスープが無くなり次第だ。この青いバケツが唯一の告知なので、ぜひ覚えておきたい。
博多元気一杯は店内ルールが多すぎ!ルール違反をすると追い出される?
博多元気一杯は「伝説のラーメン屋」と言われるほどに、面白いラーメン店だ。
まず、看板もなにも無いという事からして面白い。
さらに、このお店には様々なルールがあり、それを守らないとレッドカード、即退店となるらしいのだ。
そのルールを簡単に羅列してみると・・・
②店内をキョロキョロ見渡してはいけない
③メニューについて尋ねてはいけない
④大盛を頼んではいけない
⑤店内で撮影をしてはいけない
⑥携帯すら触ってはいけない
⑦ラーメンについて語ってはいけない
それでもお客が次から次へと来るのだから、ラーメンの味がどれだけ美味しいかお分かりになるだろう。
ところがである!最近、この厳しいルールが撤廃された。撮影もOK、通話さえしなければ携帯もOK、スープから飲まなくてもOKと、様変わりしたというのだ。
そんなわけで、この記事でも、堂々と写真付きで紹介できることとなった。
博多元気一杯で実際にとんこつラーメンを食べた感想/人生でTOP3に入る美味しさ
独自の臭みがあるとんこつラーメンは、豚骨醤油の家系と並んで人気となっている。
しかし、僕は極細麺のとんこつラーメンが、あまり好きではない。
素麺を食べた感覚に陥り、「ラーメンを食った!」という達成感を感じられないのだ。
そんな僕が人生で食べてきた数々のラーメンの中で、TOP3に入るほどに旨いラーメンが、博多元気一杯のとんこつラーメンである。
スープ/濃厚クリーミー。豚骨の旨みを引き立てる最低限の塩分
博多元気一杯のとんこつラーメンのスープは、まるでミルクのようなまろやかさと、臭みがないのに濃厚な豚骨が特徴だ。
写真を見てもらえばお分かりかと思うが、牛乳を温めた時のように、スープに膜が貼られている。それほどに濃厚なのだ。
しかし、濃厚でありながら重さを感じない、あっさりしているとも思えるスープは、旨味がすごい。
看板を出さずとも口コミだけで客が押し寄せる理由がよくわかる。
今となっては「スープから飲まなければならない」といったルールはないが、これは「スープから飲むべきラーメンである」と言えよう。
麺/ストレート極細麺
麺は加水率が高めの、ストレート極細麺である。
とろみのある絶品スープを持ち上げ、その旨さをちゃんと口に運んでくれるように計算された、やや柔らかめの茹で加減だ。
替玉/通常の替玉の他にカレー味替玉も
通常の替玉もいいが、「博多の新名物」と貼り紙のあった「カレー味替玉」もおもしろい。
子どもでもOKな甘口のカレールゥで替玉の麺を和えてある。
このカレー味替玉がとんこつラーメンのスープと合わさると、とてつもなく美味しいカレーそばができあがる。
もともとクリーミーなとんこつラーメンのスープが、カレーをよりマイルドにしてくれるのだ。
しかし、「締めのひと口はとんこつラーメンのスープでいきたい」と思うのが、博多元気一杯のとんこつラーメンのすごいところだ。
「始まりがとんこつラーメンのスープなら、終わりもとんこつラーメンのスープ」と、脳が勝手に判断してしまう。
したがって、カレー味替玉をとんこつラーメンのどんぶりにぶち込むのは愚行だ。
カレー味替玉の器のほうにとんこつラーメンのスープを入れるのが正解ということだけは、伝えておきたい。
「博多元気一杯」その他メニューと価格/メニュー構成はシンプル
博多元気一杯のメニューは、基本的に「とんこつラーメン(800円)」一本だ。
きくらげを増量した「きくらげラーメン(950円)」や、チャーシューを増量した「チャーシューメン(1,050円)」、その両方を増量した「チャーシューきくらげラーメン(1,200円)」もあるが、ベースはとんこつラーメンである。
替玉とライスはともに150円(カレー味替玉は250円)だ。
他に缶ビール350ml(350円)、ノンアルコールビール350ml(250円)も用意されている。
※当記事内の価格は全て税込
「博多元気一杯」の基本情報、営業時間とアクセス/スープが無くなり次第終了
【住所】福岡県 福岡市博多区 下呉服町 4-31
【電話番号】090-1362-4311
【営業時間】月~金11:00~22:00土日祝11:00~20:00
※ただし、スープが無くなり次第終了
【定休日】不定休
【キャッシュレス】不可
【アクセス】地下鉄・呉服町駅3番出口より徒歩5分
立地:評価3/駅から徒歩5分なのは高評価だが、博多駅から乗り換え1回約10分かかるのは残念。
コスパ:評価5/とんこつラーメンとしては標準的な価格設定だが、クオリティが桁違いで高い。
清潔度:評価4/雑居ビルの一角を店舗にしたような内装でお洒落さはないが、清掃は行き届いている。
接客:評価5/非常に物腰の柔らかい店主。
入りやすさ:評価1/初見ではお店の場所すら危うい。さらに中が一切見えない為、入りやすさは正直皆無である。
「博多元気一杯」は看板無し!口コミで広がった人気店まとめ
「人類で最初にウニを食べた人は凄い」のと同じ理由で「初めて博多元気一杯に入った人は凄い」と褒め称えたい。
あの外観でなにをもってラーメン屋だと思って入ったのだろうか。
そして食べ終わってお店を出てきた時、何を思ったのだろうか。
クリーミーで豚骨の旨みをダイレクトに感じられる、あの唯一無二のスープに、どんな感想を抱いたのだろうか。
ちなみに僕は「あ、明日も来よう!」と思って、実際に行った。それほどまで虜(とりこ)になるラーメンなのだ。
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