
広島を訪れたなら、誰もが一度は足を運ぶ場所である「平和記念公園」。
JR広島駅から路面電車に揺られ、「原爆ドーム前」で下車すると、そこには緑豊かな美しい空間が広がっています。
しかし、この場所がかつて凄惨な地獄と化し、戦後の人々の深い祈りと復興への強い願いによって形作られた場所であることを、忘れてはなりません。
ひとえに平和記念公園と言っても、世界遺産である原爆ドームをはじめ、園内には数多くのモニュメントや、訪れるべき「広島平和記念資料館」など、見どころが点在しています。
さらに公園の外に一歩足を踏みだせば、本当の爆心地や、今も街に溶け込む貴重な「被爆建物」が無数に存在しているのです。
今回は、限られた時間でも効率よく「ヒロシマの記憶」を辿れるよう、公園内外の見どころや詳細な所要時間を徹底解説します。
原爆被害の記憶を絶やさないために|「ヒロシマ」と「被爆建物」
広島では被爆や平和を語る際、都市名である広島と区別するため、カタカナで「ヒロシマ」と表記するのが一般的です。
また、原爆の投下によって被害を受け、現在もその痕跡をとどめている遺構のことを、広島では「被爆建物」と呼んでいます。
平和記念公園を歩くと、多くのモニュメントや慰霊碑に目が向きます。しかし広島では、公園の外に残る建物や街並みもまた、被爆の記憶を伝える重要な存在。
この記事では、公園内の見どころだけでなく、被爆建物や爆心地もあわせて巡りながら、「ヒロシマの記憶」を辿っていきます。
平和記念公園内の見どころ9選|所要時間60分(平和記念資料館も見学するなら+60分)
マップの黒丸が、平和記念公園内の見どころスポットです。
JR広島駅から路面電車広電に乗り、最寄りの「原爆ドーム前」で降りたら、最も近い原爆ドームから最も離れた平和記念資料館まで、順にご紹介していきます。
①原爆ドーム

爆心地からわずか160mの距離で被爆した広島県物産陳列館の残骸は、頂上の円盤の形から「原爆ドーム」と呼ばれるようになりました。
戦後、20年以上もの長きにわたり議論が繰り広げられた結果、「被爆当時の姿のまま保存する」ことが決定され、今もなお、その悲惨な姿が多くの人々の胸を締め付けています。
後世に残したい被爆建物として、世界遺産に登録されるために法律をも動かした「原爆ドーム」の詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

②平和の時計塔

ひねりが特徴の、高さ20mの3本の鉄柱の上部には、直径2mの球体時計が。
鉄柱は「人々の深い祈りの手」、鉄球は「世界人類」を意味します。
原爆ドームを見学した後にこの「平和の時計塔」を見学すると、下部のねじれが表す苦悩が、上部では真っ直ぐ希望に向かって伸びる姿に、希望への願いを感じずにはいられません。
人類が初めて経験した被爆の時刻、毎日午前8時15分になると、平和のチャイムが公園内に響きわたります。
③平和の鐘

1964年、原爆被災者広島悲願結晶の会により建立されました。
鐘の表面には国境のない世界地図が描かれ、撞木(しゅもく)を打ち付ける部分には原子力のマーク、その対面には鏡が設置されています。
原子力マークを打ち付ける己の姿を対面の鏡で確認すれば、原爆廃絶への思いを改めて考えさせられます。
鐘を取り囲む池には、千葉市から持ち込まれた大賀ハスが植えられています。
これは、被爆当時、ハスの葉を包帯代わりに使用した被爆者の霊を慰めたものです。
④原爆の子の像

「原爆の子の像」の背後には、年間を通じてたくさんの千羽鶴が捧げられていることから、「千羽鶴の塔」と呼ばれています。
高さ9mの像の頂点には、折り鶴を掲げる少女の像が。
被爆から10年後に白血病で亡くなった少女、佐々木禎子さんが回復を願って折り鶴を折り続けていたことから、広島では「折り鶴」が平和の象徴となっています。
その思いを受け継ぎ、この地を訪れる人が折り鶴を捧げられるよう、折り鶴ブースが設置されているんですね。
⑤平和の泉

亡くなる直前まで水を求め、次々と川へ飛び込んだ被爆者の姿を忘れぬよう、広島青年会議所によって建立されました。
蛇口をひねれば簡単に飲み水を得られる現代だからこそ、当時の記憶を絶やさないための「水」のモニュメントが目に焼き付きます。
⑥レストハウス

大正屋呉服店だったモダンな3階建てのレストハウスは、現在は無料休憩所や観光案内所として、「ヒロシマの記憶」を辿りにやってきた人々の憩いの場となっています。
被爆当時、たまたま地下室で勤務していて1人被害を免れた生存者がいました。
現在もその地下室が見学できますので、柱や壁の痕跡から「あの日の記憶」を見つめなおしてみましょう。
⑦平和の灯

火種として全国12の宗教界の火と全国の産業界の火などを集火し、1964年に灯されました。
「核兵器が地球上からなくなる日まで灯し続ける」という反核の意味をこめ、60年以上が経過した現在まで、絶えることなく灯されています。
平和への願いが込められた火として、国内で開催されるスポーツイベントなどの聖火として採火されることも。
平和の灯の前に立つと、静かに、そして力強く燃える姿に、息をのまずにはいられません。
「核」も「火」同様、人類が容易に触れてはいけないものとして、憂い続けたいですね。
⑧広島平和都市記念碑(原爆死没者慰霊碑)

世界で初めて原子爆弾の被害を受けた広島市を、平和都市として再建することを念願し、1952年に建立されました。
原爆犠牲者の霊を雨露から守るため、屋根の部分がはにわの家型をしています。
中央の石室には原爆死没者名簿が納められていて、記帳されているのは実に34万人以上。
平和記念公園内には数多くの慰霊碑が存在していますが、多くは子供や学生など、対象が限定されています。
この広島平和都市記念碑は、原爆によって亡くなった全ての人を対象としているため、公園内でも中心碑として、記念式典での献花や黙祷の場となっているんですね。
「追悼の象徴」である広島平和都市記念碑と、「願いの象徴」である平和の灯、「記憶の象徴」である原爆ドームが一直線に並ぶように設計されている点にも注目してみてください。
はにわの家形の屋根をフレームとして、原爆ドームが視界に入る造りとなっています。
もしかしたら、広島という都市が一番見せたいものは、追悼や願いではなく記憶、「あの日におこった事実」なのかもしれません。
⑨広島平和記念資料館

広島市では、第二次世界大戦後の早い時期から、市民らによって被爆資料の収集がおこなわれていました。
収集された被爆遺品などの資料は、1955年に開館した広島平和会館原爆記念陳列館(現・広島平和記念資料館)で展示・保管され、現在にいたるまでこの地を訪れる人に原爆の悲惨さを伝えています。
実際に見て知るための施設なので、この項目では展示内容には触れずに、基本情報のみお伝えしていきます。
【開館時間】
3月~7月…7:30~19:00
8月…7:30~20:00(8/5、8/6は21:00まで)
9月~11月…7:30~19:00
12月~2月…7:30~18:00
※最終入館は閉館の30分前
※開館後1時間(7:30~8:30)および最終入館1時間前からは、常設展示室に入場するにはオンラインでの事前予約が必要(以後、事前予約専用枠)
【休館日】
12/30、12/31
【チケット料金】
大人(大学生以上)…200円
高校生…100円
中学生以下…無料
【混雑状況】
事前予約専用枠以外の時間帯は、現地でチケットを購入しての利用ができますが、コロナ禍以降、大変な混雑になっています。
特に11時~14時頃はチケット売り場に長蛇の列ができるので注意してください。
事前にWEBでチケットを購入しておくことを強くおすすめします。
また、事前予約専用枠の時間帯は、見学人数が予約者のみに制限されるので、館内をスムーズに見学できます。
可能ならば、事前予約専用枠の時間帯のチケットを購入しておきましょう。(料金は変わりません)
【WEBチケット購入】
レジャーチケット「アソビュー!」にて事前にチケットを購入できます。
※ご利用日の3カ月前より購入可能
※事前予約専用枠の時間帯を選択することで、事前予約専用枠の時間帯に入館可能
※事前予約専用枠の時間帯以外の時間を指定した場合は、事前予約専用枠の時間帯の入館は不可
平和記念公園外の見どころ4選|所要時間は60分(おりづるタワーも見学するなら+60分)
広島市内には、平和記念公園の外にも、原爆被害を伝える施設が無数に存在しています。
この項目では、その中から観光客が行きやすいスポットを厳選して、4つをご紹介。
マップの赤丸の場所が今回紹介するスポットです。
平和記念公園の見学後、①の「おりづるタワー」から順に回り、広電の八丁堀駅よりJR広島駅へ帰るとスムーズに観光できます。
①おりづるタワー

広島で「平和の象徴」とされる折り鶴を題材とした商業施設です。
これまでの来場者が折った折り鶴が投げ込まれた「おりづるの壁」は、平和への祈りが積み重なる場所。
ぜひあなたも、壁の中へ折り鶴を羽ばたかせ、平和への祈りに参加してみてください。
最上階は開放的な展望台となっていて、お隣の原爆ドームを頭上から見下ろせる、貴重な施設となっています。
「おりづるタワー」の詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

②爆心地

爆心地の正確な場所は、複数の候補地が議論されてきました。
最新の検証では、広島市中区大手町1丁目、島内科医院の駐車場の出口付近だとされています。
原爆ドームより160m離れたこの場所には、爆心地を知らせる碑のみが置かれました。
「ヒロシマの惨劇」の源であるにもかかわらず、簡素な説明の碑のみに留めた判断には、頭が下がる思いです。
なぜなら、この場所に立ち、目線を向ける先は頭上。
原爆がさく裂した600m上空こそが、広島が残したい記憶だと思うのです。
③袋町小学校平和資料館

爆心地からわずか460mの場所にあった袋町国民学校(現・袋町小学校)では、木造校舎は全焼し、鉄筋校舎は外郭のみ残りました。
その一部を保存し、袋町小学校平和資料館として利用されています。
原爆被害で歪んだ鉄製の扉など、当時の貴重な被爆資料を展示しています。
④福屋八丁堀本店

広島の繁華街、八丁堀の一帯も、原爆の被害により壊滅しました。
そんな中、百貨店「福屋新館(現・福屋八丁堀本店)」の建物は、当時としては珍しく鉄筋コンクリート造りで丈夫だったため、崩壊を免れたのです。
戦後、歴代の経営者の「メンテナンスをおこないながら大切に使う」との方針に基づき、改修を繰り返しながら営業しています。
「ヒロシマの記憶」を伝える「被爆建物」として、その外郭は当時の原型のまま残されています。
平和記念公園周辺でヒロシマの記憶とあわせて巡りたいグルメ
平和記念公園の周辺には、たくさんの飲食店が立ち並んでいます。その中から、観光のついでに立ち寄りたい、わんたびがおすすめする、広島ならではのグルメをいくつか紹介します。
戦後の知恵で生まれたお好み焼きのパイオニア「みっちゃん総本店」
広島を代表するグルメ「お好み焼き」は、食糧難だった戦後に生まれました。
鉄板が手に入りやすい鉄の街だったことや、原爆により建物が破壊されていた背景もあり、屋台でお好み焼きを提供していたのです。
また、広島のお好み焼き屋を観察していると、店名が「○○ちゃん」としているところが多く、これは、生き残った自身の居場所を伝えるためだと言われています。
広島においては、名物のお好み焼きでさえも、記憶の一部として味わうことができるんですね。

牡蠣を心行くまで楽しむなら「海平商店」
牡蠣もまた、広島を代表するグルメのひとつです。
平和記念公園や袋町小学校からほど近い場所にある「海平商店」では、様々な調理法で牡蠣を楽しむことができます。
名物の「がんがん焼き」はぜひ試してみてください。

広島平和記念公園の観光スポット巡り!爆心地の場所や所要時間も解説まとめ
教科書で見るだけでは決して分からない、あの日そこにいた人々の息遣いや、絶望から立ち上がった広島の力強い歩みをリアルに体感できる平和記念公園周辺の散策。
モニュメントの一つひとつに込められた意味を知ることで、ただ景色を眺めるだけでは得られない、深い旅の記憶が刻まれるはずです。
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一直線に並ぶ設計の妙!「事実」を今に伝える公園内の見どころ:原爆ドームから慰霊碑まで、計算し尽くされた配置から広島が一番見せたい「あの日におこった事実」を肌で感じられます。
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大行列に注意!資料館は「WEBチケットの事前購入」が鉄則:大変な混雑が続く平和記念資料館は、待ち時間をゼロにできるオンライン予約を活用するのがスマートに巡るコツですよ。
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公園の外にも残る足跡!爆心地の碑や被爆建物を巡るルート:ドームから160m離れた本当の爆心地や、今も現役で営業を続ける百貨店など、街に息づくヒロシマの記憶も見逃せません。
歴史の重みに触れ、五感で平和の尊さを感じた後は、戦後の知恵から生まれた美味しいお好み焼きなどの広島グルメでお腹を満たし、この街の未来へ続く活気をぜひ応援してくださいね。

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