久しぶりに、全メニューを制覇したいイタリアンに出会った。
なにを食べても旨く、価格もリーズナブル。水の都「ベネチア」を彷彿とさせる外観や内装も魅力だ。
食事のみはもちろん、美味しいワインと共に舌鼓を打ってもいい。週末はランチ営業もおこなっている。
テーブル席やカウンター席、立ち飲み席まで用意され、シーンを選ばず利用できるのも嬉しい。
そんな「IL DOGE<イル・ドージェ>」の魅力を、この記事でたっぷりとお伝えしていこう。
IL DOGE<イル・ドージェ>の外観と雰囲気
高円寺の裏路地に、レンガ造りのお洒落さが際立つ外壁。この温かみのあるレンガ造りは、店内にまで続いている。細長い間取りも手伝って、細く入り組んだベネチアの街並みそのものだ。
お洒落な店内に足を踏み入れると、左手に8席ほどのカウンター席が並ぶ。カウンター下のフックに荷物をかける仕様で、抜かりが無い。
テーブル席は、レンガのアーチをくぐって隣の部屋へ。面白いことに、立ち飲みができる「スタンディング席」も設けてある。その理由は後述しよう。
スタッフは皆、懇切丁寧。それでいてフレンドリーで好感が持てる。取り皿を好感するタイミングや、ワインのお替わりのタイミングも良く、客席全体をよく見てる証しではないだろうか。
店名「IL DOGE」の意味
王や君主を持たなかったベネチアにおいては、街の商人が政治も兼務していた。「DOGE<ドージェ>」は、その商人達を取りまとめる存在、つまり「元首」である。
「IL」は、英語で言うところの「THE」と同じ。すなわち、
「IL DOGE」は「THE PRESIDENT」。
高円寺で…いや、東京で。もしくは日本において、「イタリアンと言えばここ!」と言われる唯一無二の存在になりたい。もしかしたら、そんな願いが込められているのかもしれない。
IL DOGEは、「BACARO&OSTERIA」
IL DOGEの店名に併記された「BACARO&OSTERIA」のイタリア語。
「OSTERIA<オステリア>」は、簡単に言えば「大衆居酒屋」だ。
面白いのは「BACARO<バーカロ>」で、IL DOGEにスタンディング席が設けられている理由でもある。
バンコーネと呼ばれるスタンディングカウンターにて、ちょっとした小皿料理「チケッティ」をつまみながら気軽にワインを嗜む。
そんな風習がベネチアにはあるのだ。それが、まさしくBACAROである。
バンコーネのショーケースに並べられた様々なチケッティから好きな物を数種類選び、ワインと共に楽しむ。
立ち食いの寿司屋と同じ。ふらっと立ち寄って、ショーケースに並んだネタから数貫握ってもらい、日本酒を流し込んで帰る。そんなイメージだ。
ただ、BACAROは「立ち飲み屋」という認識ではなく、あくまでも飲み方のシステム。レストランの中にBACAROを設けている場合が多い。
つまり、寿司屋の中に立ち食いスペースがあるようなもので、日本人にはあまり馴染みがないシステムなのである。
IL DOGEで実際にイタリアンを食べた感想
IL DOGEは格式張ったイタリアンレストランではないので、適宜単品で注文するのが良い。(コースの用意もある)
僕も何品か単品で注文したので、イタリアンの構成に沿って紹介しよう。
ストゥッツィーノ
ストゥッツィーノは、食前酒に合わせるおつまみ、つまりお通しだ。
この日は、チーズと生姜が添えられているバケット。チーズと生姜の組み合わせは初めてだったのだが、全く違和感がなく美味しかった。
こうした「おっ!」と思わせるお通しが出てくるお店は、他の料理も総じてレベルが高い。
アンティパスト
「前菜」を意味するアンティパストは、白レバーのムースをチョイスした。
鶏レバーの風味が広がるなめらかなムースは、ワインとの相性も抜群。
レバーのなめらか食感と、バケットのサクッと食感のコントラストも楽しい。
プリモ・ピアット
前菜とメイン料理の間に出されるプリモ・ピアットは、パスタやリゾットなどの炭水化物が多い。
それに習い、グランドメニューではない、黒板メニューからパスタをチョイスした。
「海の幸のトマトソース・リングイネ」はムール貝やイカ、エビなどの海の幸がふんだんに使われた、ペスカトーレのようなパスタである。
魚介の旨みが凝縮されたトマトソースと、平打ちパスタのリングイネが絡む絡む。
アクセントとなっているガーリックも、魚介の旨みを邪魔しない程度に。
セコンド・ピアット
メイン料理はセコンド・ピアットと呼ぶ。
某大衆的イタリアンでも耳に覚えのある「ディアボラ」という単語。どうやら「悪魔的」という意味らしく、辛く刺激のあるソースなどが「ディアボラソース」とのこと。
かと思えば、フライパンで鶏肉をカリッと焼き上げる料理を、単に「ディアボラ」と呼ぶらしいのだ。
山陰地方の銘柄鶏である「大仙鶏」をカリッと焼き上げて、唐辛子を使った辛めのソースを添える、「大仙鶏もも肉の香草ロースト・ディアボラソース」が美味。
おそらく香味野菜に漬け込んだ鶏を、皮がパリパリになるまでじっくりロースト。食感も香りも楽しく、300gがあっという間になくなってしまった。
にんにくや唐辛子の辛みも程よい。せっかくのイタリアンなのに白いご飯が欲しくなってしまうのは、日本人の特性なのだろうか。
チケッティ
先に解説した通り、イタリアではバンコーネと呼ばれるスタンディング席で、ワインと小皿料理「チケッティ」を楽しむ習慣がある。
本場イタリアに習ってスタンディング席を設けているIL DOGEでも、もちろんチケッティが用意されている。
嬉しいことに、IL DOGEではスタンディング席ではなくても、チケッティが注文できるのだ。
150円~300円の小皿料理が20種類ほど。おまかせで約10種類を盛合わせた「チケッティ盛合わせ(2人前)」がメニューにあったので、注文してみた。
恐らくピザにも使われるであろう、木製のプレートに盛られて提供されたチケッティ達。
物によって味付けを変えてあるのは当たり前なのだが、ワインに合うように、ひとつひとつが濃くてはっきりとした味付けになっている。
それゆえ、このチケッティだけで満足しがちなのだが、そうなればIL DOGEの旨すぎる他の料理に出会う機会を失ってしまうので注意しよう。
IL DOGEのその他メニューと価格
<チケッティ>
※日替わりで何品か入れ変わる可能性アリ
アンチョビタマゴ(1ケ)…150円
キャロットラペ/紫キャベツのマリネ/じゃがいものクロケッタ/ブロッコリーペペロンチーノ/かぼちゃローズマリーマリネ/ごぼうバルサミコソテー/ズッキニ―のグリルマリネ/色々豆とツナのクスクス/おくらアラビアータ/米なすのグリル/コンブのペペロンチーノ/マッシュルームのガーリックオイル煮/イカスミのライスコロッケ…200円
鶏レバーのクロスティーニ/セミドライトマト/フリッタータ/自家製とりハムと白菜のレモンマリネ…300円
チケッティ盛合わせ(2人前)…1,400円
<アンティパスト・前菜>
鶏白レバーのムース…600円/山盛りアンチョビキャベツ…650円
季節野菜のピクルス…500円/2種オリーブのマリネ…500円
プロシュート…500円/コッパ…500円/ナポリサラミ…500円
モルタデッラハム…500/お肉の前菜盛り合わせ…1,500円
<アラカルト・一品料理>
ポテトフライボロネーゼソース…M600円、L800円
イカ墨ゼッポリーネ…600円/チーズ盛り合わせ…1,200円
とっても大きな自家製サルシッチャ…950円
ソフトシェルシュリンプときのこのガーリックオイル煮…950円
牛もも肉のカルパッチョ…1,100円/トリッパ・ア・ラ・モード…800円
<ピッツァ>
マルゲリータ…1,050円/フォルマッジ…1,150円
ガーリックトースト…600円/バケット…300円
<パスタ>
カルボナーラ…1,500円/アラビアータ…950円
アンチョビとキャベツのスパゲッティ…1,200円
ジェノベーゼ…1,400円/ポルチーニ茸クリームソース…1,650円
カーチェ・エ・ペペ…1,100円/イカ墨スパゲッティ…1,400円
アンチョビと玉葱のスパゲッティ…1,100円
<メイン>
牛ハラミ肉のグリル ポテトフリット添え
100g…1,050円
200g…1,900円
300g…2,850円
大仙鶏もも肉の香味ロースト(300g)ディアボラソース…1,500円
牛タン下の赤ワイン煮込み マッシュポテト添え…1,800円
自家製塩豚スモークのグリル(150g)ヴィネグレットソース…1,400円
<ドルチェ>
自家製ティラミス…600円/チョコレートテリーヌ…600円
ゴルゴンゾーラのチーズケーキ…600円/アッフォガード…500円
ビスコッティ…600円/本日のジェラート…500円~
その他、黒板に日替わり多数。
※当記事内の価格は全て税込
IL DOGEの基本情報、営業時間とアクセス/
【住所】東京都杉並区高円寺南3丁目45−11
【電話番号】0363049525
【営業時間】
ランチ(土日のみ)12:00~15:00(L.O.14:00)
ディナー(日~木)17:00~23:00(L.O.22:00)
ディナー(金土)17:00~24:00(L.O.23:00)
【定休日】なし
【キャッシュレス】各種クレジットカード
【アクセス】JR高円寺駅南口徒歩3分
▶公式サイトはこちら
立地:★★★★★/駅近立地
コスパ:★★★★★/価格以上の品質
清潔度:★★★★★/お洒落で綺麗
接客:★★★★★/親しみやすい
入りやすさ:★★★☆☆/お洒落すぎて躊躇しちゃう(笑)
おすすめイタリアンIL DOGE<イル・ドージェ>が最高すぎた まとめ
都心からも程近い高円寺の路地裏。
洒落た外観に引き込まれてみれば、そこはまさしくベネチア。
美味しいイタリアンを求めているならば、ぜひともIL DOGEへ。
チケッティと呼ばれる小皿料理から、前菜やメイン料理に至るまで、どれも価格以上の価値で楽しませてくれる。
カウンター席やテーブル席、それにスタンディング席まで用意され、様々なシーンで気軽に利用できるだろう。
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